第 6 章: 優れたプロジェクト チームを構築する方法

この章では、効果的な共同作業がどのようにプロジェクトを成功に導くかを学習します。プロジェクト チームにおける一般的な役割と責任、利害の対立のバランスを取る方法、強力な共同作業の規範を実施する方法について説明します。

役割と責任

プロジェクトごとに独自のスキル セットが求められる場合もありますが、プロジェクト チームのほとんどが、似たような役割で構成されています。このセクションでは、プロジェクト チームの重要な役割と責任を定義します。

プロジェクト マネージャーは何をしますか?

プロジェクト マネージャーは、計画、実行から納品、レポート作成まで、プロジェクトのあらゆる側面を担当します。プロジェクト マネージャーは、目標、制約、リスク、リソースを完全に把握する必要があります。

プロジェクト マネージャーの主な責任は次の 5 つです。

  1. プロジェクト計画を作成する: プロジェクト マネージャーは、プロジェクトを特定のタスクに分割し、関連するチーム メンバーにタスクを割り当て、合理的なタイムラインを作成する責任があります。
  2. 強力なプロジェクト チームを構築する: プロジェクト マネージャーは、プロジェクトごとに必要なスキル セットを考慮し、最適な形で実行できるようにプロジェクト チームを編成します。プロジェクトによっては、最適なチームを作るには、部門をまたがる必要があるかもしれません。
  3. 実行を通じてプロジェクトを監督する: ここで「管理」が必要になります。プロジェクト マネージャーは、プロジェクトの実行を監督し、パフォーマンスを監視して、必要に応じてスケジュールや予算を調整します。
  4. プロジェクト チームと関係者の間の連絡役になる: プロジェクト マネージャーは、関連する関係者に進捗状況を報告し、期待事項を管理します。プロジェクト チームと主な関係者のバランスを取る方法をご確認ください。
  5. プロジェクト ドキュメントを維持管理する: プロジェクト マネージャーは、関連するすべての計画ドキュメント、各成果物の正確なバージョン、関連するすべてのコミュニケーション、プロジェクトが完了した後に学んだ教訓など、プロジェクトのすべてのフェーズを文書化する責任があります。  これは、現在のプロジェクト中、整理整頓された状態を保つために重要です。また、今後のプロジェクト用の履歴データとしても利用できます。

強力なプロジェクト マネージャーが一般的に備えている 5 つの特徴を次に示します。

  1. 明確なビジョン: 問題にぶつからないプロジェクトはありません。したがって、プロジェクト マネージャーはプロジェクト目標を明確に理解し、コースから逸れないようにする必要があります。さらに、プロジェクト マネージャーは、プロジェクトが組織の大きな目標にどのように適合しているかを理解する必要があります。これにより、タスクとリソースの優先順位を適切に設定することができます。 
  2. 一流のコミュニケーション スキル: 明確な方向性を示し、チームや外部の関係者に情報を効果的に伝えるために、プロジェクト マネージャーには強力なコミュニケーション能力が必要です。 
  3. 協力的な考え方: 強力なリーダーは、委任の仕方がわかっています。プロジェクト マネージャーはチーム メンバーを信頼し、実行のための自律性を十分に与える必要があります。また、利害の対立が発生した場合は、効率的に交渉する能力も求められます。
  4. 高度な組織力: プロジェクト マネージャーは、少なくとも、人、スケジュール、予算を調整します。変化する部分が非常に多いため、整理整頓された状態を保つことは、プロジェクト マネージャーにとっては非常に重要です。
  5. 整合性: おそらく何より、プロジェクト マネージャーは、すべてのチーム メンバーや関係者から信頼されなければなりません。この信頼を得るために、プロジェクト マネージャーは、プロジェクトのライフサイクル全体を通して透明性と信頼性を維持する必要があります。

几帳面で信頼できるプロジェクト マネージャーは、プロジェクトの成功に不可欠です。プロジェクト マネージャーになる方法と関連する認定資格については、第 8 章をご覧ください。

プロジェクト チームのメンバー

プロジェクト チームとは、協力してプロジェクトを実行する個人のグループのことで、目の前のタスクに応じてスキルを組み合わせて提供します。

クロスファンクショナル チームとは、社内のさまざまな部門の、さまざまな職務知識を持つ人で構成されたチームです。たとえば、Web サイトの立ち上げプロジェクトでは、マーケティング、セールス、デザイン、Web 開発チームのメンバーで構成されるクロスファンクショナル チームが必要とされる場合があります。

プロジェクト チームを編成するときは、プロジェクト目標、その目標を達成するために必要なスキル、リソースのキャパシティ、タイムラインと予算の制約、各個人の働き方を考慮してください。

RACI マトリクス

RACI マトリクス (責任、説明責任、コンサルティング、情報提供) は、プロジェクト チーム内で役割を割り当てるために使用されるツールです。このマトリクスをガイドとして使用して、タスクの責任者、タスク完了の説明責任者、コンサルタント、タスクのステータス情報の提供先を特定します。

RACI マトリクスを使用すると、各タスクまたはプロジェクト全体の各チーム メンバーの役割をプロットできます。RACI マトリクス テンプレートの使用について詳しくは、RACI モデルのガイドをご覧ください。

プロジェクト チームと関係者の影響のバランスを取る方法

チーム メンバーや関係者の利害の対立を効果的に管理するには、協力しながら、リソースとチームの処理能力に基づいて要件に優先順位を付け、プロジェクト全体を通して緊密で透明性の高いコミュニケーションを維持します。

ここでは、チームと関係者の管理に関するヒントを、それぞれ別の分野として提供します。

チームおよびリソース管理

チームとリソースを最適に管理するには、まず、チーム メンバーのニーズとキャパシティを把握します。また、そのスキルとリソースをどのように配分して、プロジェクトを実行するのがベストなのかを理解します。

ここでは、効果的なチーム管理のためのヒントをいくつかご紹介します。

  • 適切な人材を採用する: 仕事を遂行するには、適切な人材を配置する必要があります。必要なスキルだけでなく、チーム メンバー候補の性格、働き方、信頼性を考慮しながら、適切に人選してください。 
  • 情報を伝える: 前述のとおり、コミュニケーションはプロジェクト マネージャーにとって重要なスキルです。チームから指導を求められるので、積極的かつ明確に最新情報を提供します。
  • 共同作業をモデル化し促進する: サイロによって生産性と創造性が失われます。共同作業とクロスファンクショナル作業をモデル化することで、その重要性をチームに示し、協力して効率性を高めることを促します。
  • 委任方法を学ぶ: 初心者のプロジェクト マネージャーの多くが、すべてを自分で行おうとします。優れたリーダーは、チームメイトを信頼して仕事を任せ、その過程でモチベーションを与えながら、サポートを提供します。
  • 有意義なフィードバックを提供する: チームを強化する最良の方法の 1 つが、建設的なフィードバックを提供することです。そうすることで、それぞれが成長でき、将来成功する可能性も高まります。

関係者の管理

関係者とは、プロジェクトの成功に既得権を持つ第三者です。関係者は、社内 (経営幹部) または社外 (投資家やクライアントなど) に存在する可能性があります。また、この関係者には、プロジェクトの進捗を常に通知する必要があります。

関係者のタイムライン、コスト、成果物に関する要求は、新しく発生したり変化したりする可能性があるため、関係者の管理は困難になることがあります。すべての関係者を成功に導くには、次のヒントを参考にしてください。

  • 早い段階で会話を行う: 関係者との関係の本質が信頼であり、信頼は非常に重要です。関係者を早期に巻き込んで良い関係を構築できれば、すべての当事者が、自分の声が聞かれていると感じられるようになります。
  • コミュニケーションの頻度を設定する: 関係者の信頼とプロジェクト チームの独立性の両方を維持するには、一貫したコミュニケーションを確保するためのスケジュールを設定し、全員に情報を提供し、プロジェクトを円滑に進めます。
  • プロジェクトのライフサイクル全体を通して透明性を維持する: 特に予期しないイベントやスケジュール、予算、成果物の変更中に、プロジェクトの進捗に関する最新情報を関係者に提供し続けます。このレベルの透明性がなければ、成功能力に対して関係者から不信感を抱かれる可能性があります。
  • 柔軟性を維持しながら、プロジェクトの制約を把握する: プロジェクトの進行中、関係者から追加のリクエストがあることもあります。有能なプロジェクト マネージャーは変更を受け入れる一方で、何をどれだけ変更できるかに関する境界線も設定しています。少なくとも、範囲の変更が予算やタイムラインに影響することを、関係者に事前に明確に伝えておいてください。
  • 実際に顔を合わせる時間を優先させる: 今の作業環境では、関係者との会話は、多くの場合、バーチャルで行われます。書面によるフィードバックなどのドキュメントは役立ちますが、ビデオ ミーティングでも対面でも、定期的に関係者と顔を合わせるようにします。

効果的な共同作業の重要性

プロジェクト管理で共同作業が重要な理由は主に 2 つあります。1 つは生産性が向上、もう 1 つはイノベーションの促進です。チームは共同作業を行うことで、より良い結果をより早く実現し、より創造的で最先端の製品、ソリューション、サービスを開発することができます。

チームワークとは対照的に、共同作業では、さまざまなスキルを持つ人がそれぞれ知識を出し合って結果を達成します。共同作業が特に重要なのは、クロスファンクショナル チームです。このチームでは、さまざまな専門分野を持つ人が、協力してプロジェクトを実行する必要があります。

しかし、共同作業とは、さまざまなスキルを組み合わせるだけではありません。合理化されたプロセスを定義し、納期を早め、困難なタスクや時間のかかるタスクに関する支援を提供するのにも役立ちます。プロジェクト マネージャーが「全員参加」の方針を設定すれば、より協力的だったチームは、参加して目標達成をサポートしようという気になります。 

詳しくは、チームワークと共同作業に関する詳細なガイドをご覧ください。

リモート共同作業の台頭

リモート共同作業とは、地理的に離れた場所にいるチームが協力するために実装するプロセス、慣行、ツールのことです。ここ数年、多くの企業が分散型労働力に移行しているため、プロジェクトの成功にはリモート共同作業の強化が不可欠になっています。

詳しくは、効果的なリモート共同作業を構築する方法に関する記事をご覧ください。

リモート共同作業のベスト プラクティス

リモート共同作業を効果的に行うには、プロセスを構築し、地理的に分散したチームをサポートするツールを実装する必要があります。リモート環境でのワークフローを確立し、コミュニケーション規範を定義することで、誰もがサポートされ、輪の中に入っていると感じられるようにします。

リモート共同作業のベスト プラクティスを以下に示します。

  • メールよりもビデオを優先させる: 対面での会話に取って代わるものはありませんが、ビデオ通話は、メールや他のメッセージング アプリよりも共同作業に適しています。対面のブレインストーミング、チェックイン、レポート通話を目指してください。
  • 作業時間と会議のバランスを取る: メールのやり取りの大部分をビデオ会議に置き換える必要がありますが、会議を多く詰め込み過ぎて、チームの足を引っ張らないように注意してください。自律性を保ちながら仕事を完了できるように、作業に集中する時間と会議時間のバランスを取ります。 
  • 新しい人とのミーティングに積極的に取り組む: 中央にオフィスがないと、新しい人と会って共同作業を行うのは大変です。他のチームとのビデオ通話を設定してつながりを維持し、クロスファンクショナル チーム間の共同作業の機会を特定します。
  • 作業時間を設定する: 孤立感と燃え尽き感を抑えるには、全員がオンラインかつ対応可能な時間を「作業時間」に設定します。これは組織という感覚を維持し、チーム間のコミュニケーションを刺激し、在宅勤務の「常にオン」という症状を軽減するのに役立ちます。
  • チームをまとめるためのバーチャル イベントを開催する: たとえリモート チームでも、仕事とは関係のない楽しいイベントの価値を過小評価しないでください。ビデオ通話を利用したバーチャル チーム ランチ、ハッピー アワーなどのグループ活動をスケジュールして、士気を高め、人がつながりを常に感じられるようにしてください。 

こちらの包括的な記事には、リモート チームの管理について知っておくべきことがすべて記載されています。また、一般的なプロジェクト管理ツールとソフトウェアについて詳しくは、第 9 章をご覧ください。

共同作業ツール

現在、チームがリモートで共同作業するのを支援するために設計されたツールは多数存在します。 

共同作業ツールは、ビデオ アプリやメッセージング アプリから、生産性向上プラットフォーム、編集プラットフォームまで、さまざまなものがあります。大規模な作業の場合は、プロジェクト管理ソフトウェア、スケジューリング アプリ、視覚化ツールなども検討できます。 

適切な共同作業ツールを見つけるには、チームや会社の特定のニーズを考慮し、ツールがサポートする必要がある既存のプロセスを特定します。

次の質問の答えを自分で考えながら、チームに適した共同作業ツールを選択してください。

  • 想定される機能: このアプリで何を行いますか?
  • ライセンス数: 何人がこのツールにアクセスする必要がありますか? また、どの程度のレベルのアクセス許可が必要ですか? 
  • 予算: 会社がツールにかける費用はどのくらいを予定していますか?
  • 既存のツール: 新しいツールは既存のツールにどのように適切に統合する必要がありますか? または既存のツールをどのように適切にサポートする必要がありますか?
  • セキュリティ: 会社はサードパーティのツールに対して、どのようなセキュリティ対策を求めていますか?
  • 既存のプロセス: このツールはどのような既存のプロセスをサポートする必要のありますか? また、既存のプロセスが、このツールによってどのように置き換えられる、または変更される可能性があるかを評価します。

リモート共同作業ツールに関する詳細なヒントと完全な比較については、こちらのガイドをご覧ください。

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